講師としてセミナーに登壇することと、心理学は切っても切れないものです。
心理学を知っているか否かでは、セミナーの成果に大きな違いが生まれます。心理学の基本をおさえておかなければ、セミナーで十分な結果はあげられないでしょう。
とはいえ、
🔰 具体的に使うべき心理学テクニックは何か?
というような疑問を持っている講師さまへ、
本記事では、セミナー講師がおさえるべき心理学の基本と、テクニックについて解説します。
目次
セミナー講師がおさえておきたい心理学の基本
まずは心理学の基本についておさえておきましょう。
心理学的な観点から必ずおさえておきたいのは、
✅ 最初が最大の山場
✅ 信頼関係を築く
✅ 勝手に常識を作る
という3点が挙げられます。
それぞれについて、下記では詳しく解説します。
最初が最大の山場
第一におさえておきたいのは、「最初が最大の山場である」ということです。
参加者に与える第一印象が、何もよりも大切です。
「初頭効果」という心理学用語を聞いたことはないでしょうか?
簡単に言えば、「一番最初に与えた印象が、意思決定や行動へ大きな影響を与える」というものです。
ことセミナーには、初頭効果が強烈に影響を与えます。つまり最初の印象がよければセミナーは成功へ近づきますし、印象が悪ければ、うまくいくはずもありません。
あらゆる手段を使って、第一印象が高まるように創意工夫しましょう。
たとえば、
- 清潔な服装に仕上げる
- 笑顔の作り方を覚える
- 声のトーンを好印象にする
- 姿勢を正す
- 適切な声量を心がける
- 目線を高く持つ
などを意識するとよいでしょう。
とはいえ第一印象を向上させるため、やるべきことはいくらでもあります。上記はあくまの一例にしか過ぎません。
第一印象については、継続的なブラッシュアップを続ける必要があります。
信頼関係を築くことが重要
また、「信頼関係」を築くということも、心理学的な側面で言えば大切です。
これは上手に話すことよりも、美しい資料を作ることよりも、はるかに重要です。なぜなら講師と参加者の間に信頼関係がなければ、何を言っても「響かない」からです。
信頼してもらえなければ、態度変容や行動促進を起こすどころか、聞き流される可能性があります。
ここで「作らなければいけない信頼関係」は、心理学用語における「ラポール」です。
ラポールが築かれていれば、
- この講師には権威性がある
- この講師が言っていることは、(ロジックを一部度外視して)信用できる
- 言われたとおりに行動してみたい
といったことが可能になります。
これらを達成するためには、さまざまな工夫が必要です。
たとえば、
・参加者を事前にプロファイルし、共通点を示す
・質問をして、相互理解する
といった方法があります。しかしラポールを築くことは、決して簡単ではありません。
適切にラポールが形成されるように、やはりブラッシュアップし続ける必要があります。
信頼関係の基本。ビジネスにおけるラポール形成とは?
心理学を使って、感情に訴える
そして「感情に訴える」という目的を、忘れないようにしましょう。
参加者に態度変容や行動促進を起こしたい場合、ロジックは必要です。ロジックが形成されていなければ、参加者は納得してくれません。
しかし「ロジックだけでは、まったく足りない」という事実もあります。
何らかの方法で、参加者に「行動(=セミナー主催者側でのコンバージョン)しなければ!」と思わせなければいけません。
そのためには、「参加者の感情を読み取る」ということが重要です。
参加者が
⚠ 何を求めているか
⚠ 何に危機感があるか
ということを先読みして、「そこには行動が必要である」という状態に持ち込むというわけです。
そのうえで、「参加者からのアテンドを引けるフレーズを差し込む」というのが、基本的な流れになります。
もちろん、ものすごく難易度の高いことです。おそらくセミナー講師として、永遠の課題と言えるでしょう。
しかしこの課題と向き合わなければ、成果は得られません。
セミナー講師がおさえておくべき、心理学テクニック
上記では、セミナー講師がおさえておくべき心理学の基本について解説しました。これはあくまでも基本的なものであり、今すぐ活用できる「テクニック」ではありません。
下記では、すぐにでも使えるような、セミナー講師がおさえておくべき心理学テクニックをふたつ紹介します。
ぜひ、使いこなせるようになっておきましょう。
誤前提暗示
誤前提暗示とは、「二者択一ではないのに、二者択一に見せる」というテクニックです。
二者択一を迫ることで、参加者の行動が、ある程度制御できるようになります。
たとえば、「コンサルタントに受けてもらう」ということが目的だったとしましょう。ノーマルに選択肢を提示するなら、「受けるか、受けないか」という二択になります。
しかし「コンサルタントには、AとBのコースがある」というようなことを宣言していたとしましょう。
すると選択肢は、「AかBか」、というふうに提示されます。
つまり「コンサルタントを受けるか」という前提を飛ばした「誤前提」を暗示するというわけです。
サウンドバイト効果
サウンドバイト効果とは、「簡潔な言葉は印象に残る」ということを示すというものです。
人は、長いフレーズを心に留めることが苦手です。しかし簡潔な言葉は、面白いほど印象に残ります。
・「人命は地球よりも重い」(福田赳夫)
・「Fight for freedom.」(映画:独裁者)
・「Yes We can.」(バラク・オバマ)
といったフレーズを覚えている人は、多いのではないでしょうか?
覚えている要因のひとつとして、「サウンドハイド効果」のはたらきが挙げられます。
つまり「短くて印象的なフレーズ」を用いることで、参加者に何らかの印象が持たせられるというわけです。
https://www.seminarjyoho.com/hack/post/social-psychology/
セミナーの成果を上げるために心理学を活用しよう
セミナー講師には、さまざまな心理学的な知識や思想、テクニックが求められます。
心理学を知らず、無軌道にスピーチしても、思ったような結果は得られません。
学問である以上、心理学はたいへん奥深いものです。一朝一夕で身に付けられるものではありません。
繰り返しにはなりますが、「継続的にブラッシュアップする」ことが重要です。
https://www.seminarjyoho.com/tag/%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6